かけがえのないもの

当院の頼りになる看護職員として慕われている「Y」さんが、数日前のブログで、
有名な「わに塚の桜」の写真を掲載しました。
見事な桜に目が奪われますが、私は別のところに注目しました。

良く見てください。桜とともに電線が映っています。
実は「わに塚の桜」の真上を高圧電線が通っているのです。

「わに塚の桜」は、田園の中に孤高の姿で立っているので、
後方の富士山や八ヶ岳をバックにした写真が最高のアングルなのです。

しかし、電線が邪魔をして良い構図がとれません。
このことは、だいぶ前から地元や桜を愛する人たちが残念に思っていることですが、
どうすることもできません。一度失われた景観は戻ってこないのです。

日本の庭園や伝統建築には「借景」という手法が使われています。
自然の山や樹木を背景に取り込んで一体化し迫力のある景観を演出します。

京都の円通寺や天龍寺、比叡山の修学院離宮、島根県安来市の足立美術館などが有名です。


.                               足立美術館庭園

もし、借景している山や林が開発されて景観が損なわれたらどうでしょう。
日本の誇る名園も名刹も価値がなくなってしまいます。
それほど景観というのは貴重でかけがえのないものなのです。

当病院も自然環境の良さを最大の売りにしています。

東に茅ケ岳、西に南アルプス、南に富士山、北に八ヶ岳。
この景観は病院にとっての「借景」で、病院の建物が四季折々の自然の中で息づいています。

この景観に病院を訪れるすべての皆さん方が癒されるのです。

これからも、ずっとずっと美しい自然景観に囲まれた病院でありたいと願っています。

我が家でも花が癒してくれます。